備忘録本編1

奥泉光「石の来歴」◎

芥川賞受賞作品。
相当面白く、現実と虚構の境界の喪失は、主人公の心理を描写ではなく
見事に伝えてくれる。収録されている鯰の話も「良」
ただ、この作品以外の作者の作品は面白くない、実験的過ぎる感じがする。

小池真理子「恋」◎

直木賞受賞作品。
小池真理子は結構馬鹿にされる作家だけれど、例えば夫の藤田宜永に比べて
明らかに恋愛を上手くかけているし、むしろこの方以上に非現実(小説的リアリズム)
な恋を説得力を持って描ける人はほとんど見たことない。
この作品も、とことん官能的でありながら臭さがない。ただ、逆にそれが欠点でもある。

北原亞以子「恋忘れ草」△
短編で、同一時代場面上(しかも時代は江戸)という誰がやっても面白いであろう話
それを、普通に面白く作ったという感じ。ただし、それぞれの話が絡み合うっていう
当然の書き方をしてないのには疑問・・

白石一文「一瞬の光」△
軽い作品。そのため一気に読める。
逆に話の流れが凡庸。

姫野カオルコ「ツ、イ、ラ、ク」□
濃厚な、かつ淡い官能の世界。少年少女の青い爆発が良い
しかし、後半の、その後・・・的なのは蛇足
このレベルが自分にとっての及第ちょっと位にしたい

町山智浩 「<映画の見方>がわかる本」△
ライムスター宇多丸のラジオ(タマフル)を聞いたり、ストリームを聞いているので
町山さんも知った。彼の言う「映画評論」の方法論が全てとは思わないが
間違いなく「今」のメインストリームだし、その生みの親の一人だと思う。
収録の2001年宇宙の旅の解説(裏話的)は面白い!

鈴木邦男 「夕刻のコペルニクス」(+続・3)□
右翼一水会の生みの親。たかじんの・・・委員会に出てて、非常に
落ち着いた人がいたので気になって、読んでみた。
話半分で聞いていたとしてもなかなか面白い。

井上ひさし 「日本語よどこへ行く」×
日本語について勉強しようと思って借りた本の一つ
ハズレ。ただのありきたりな話をしている対談本に過ぎない。

川上健一 「翼よいつまでも」○
爽やかで、青春の味がする本。
古きよき社会を20にもなっていないのに感じ、喪失感すら味わった
多少荒く、惰性な部分もあったが、小説で味わいたい感覚があった。

竹田恒泰 「語られなかった皇室たちの真実」□
個人的に皇室に対して敬意(親が古臭い家だからか)を持っているが
それを強化するものとなった。WW2時の皇室の裏話には感動した。
ただ、自分の周りもそうだが、ほとんどの人が皇室に興味をもってないが
その人たちを振り向かせられるかと行ったら微妙。まぁ皇室関係本では最高の一冊じゃないか・・


自分のメモがなくなってきたので、読書後の一言メモをネットに移すことにしました。
映画のメモもあるんで順じ自分の備忘録として載せていきます。
題名の横に評価を◎、○、□、△、×の五段階で示します。